『聖なるズー』を読んでみた

筆者の壮絶なDV体験から始まる、これまで目を背けられていたであろう性愛の分野に浸り、仕上げられたノンフィクション。
「動物性愛」と聞くと、悪い意味での変態か、動物虐待を思い浮かべる人がほとんどでしょうけど、そうでも無さそうな世界が広がっておりました。

結婚する前からDVを受け続け、セックスは、一時暴力を受けなくて済む時間だっただけで、性愛を知らなかった筆者。

その相手と結婚し、またDVを受けたことで離婚のきっかけを得る。

その後、彼女が選んだ道は、大学院で学術的に愛やセックスについて研究すること。

とは言え、性暴力を研究テーマにすると、心の傷が深まることが予想されたために選んだテーマが「動物性愛」だった。

 

はい。かなり、すっ飛んでます。。

 

ですが、動物性愛者について、ヨーロッパで取材した内容をみると、いわゆる獣姦とはまるで違うイメージのものでした。

動物性愛者(ズーフィリア、略してズー)は、動物(多くは大型犬)との対等性を大事にし、動物から求められなければセックスはしないということ。

性欲を満たすために、動物を扱っている、ということでは、決してないようです。

とは言え、そんなことは理解を得られることは稀で、ズーであることを秘密にしている人が多い中、筆者は根気よくコンタクトをとり、数日、相手の家に泊まり込んで取材していきます。

フィクションでも描けないような世界が広がっておりますが、動物との性行為満載というのではなく、性愛というものを改めて捉えたいという筆者の物語ではあります。

読み応えありました。機会あれば是非。

 

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